R.I.P.

XX.

　通りで様子がおかしいと思ったのです。
　めーちゃん
　君は

　僕の召喚獣じゃない

　あのこの夢の欠片、描かれた不定形

　めーちゃんが僕が呼び出していた僕自身の使役する悪魔なら
　僕の思った通りの姿で現れていた筈なのでした。
　だけど君の姿は不満と恐怖の塊。
　かっこよくもかわいくも、きれいでもないのです。

　そしてあのこが目を覚ます

　固有座標の夢が消える

　僕は『メフィストフェレス』と名付けたものを喚びました。
　けれどここはあのこの夢の中です。
　あのこの持っていないイメージはここでは存在出来ないのです。
　それでも喚ばれたものは確かにそこ存在するのです。
　僕の目の前に今もそれはいるのだから。

　夢が終われば、めーちゃんの形は消えてしまいます。
　依代が消えたら本物のめーちゃんは何処に行くのか、そんな事は知りません。

　知りたければ、元の座標でもう一度喚べば良いのです。
　その時にはきっと、僕の思い描く姿に。

「お還り、メフィストフェレス」

　そして僕も。

12.

　いいですかぁー

　ゴスと
　ロリィタは

　別物なのですよー！！

　寧ろ全く逆の思考である事を知って欲しいのですよー！！

　表面だけ見ても違いが判る人には判る筈なのです、
　ファッションゴスの僕はそう主張するのです……
　白ゴスは、認知度が、低いのです……
　日帝限定のような気がするのです、所詮新興ですよう。

　でもまぁ、見た目ばかりに気を取られてゴス的思考を忘れては元も子もないのです。

　気を取り直して、えーと、僕の肩書き、増える一方なのですね。
　召喚術師、錬金術師、魔銃士、
　召喚獣デザイナー、服飾デザイナー、兵器デザイナー、
　次元渡り、夢渡り、時渡り。
　ついでに錬金術指導教官で聖グレゴリア魔術学園の非常勤講師なんてのもあった気が
　……呼んで貰えないのですけど。

　今度は何をマスターするか、悩む所なのですね。

　僕には元から時間がないのだから、精々好き勝手やるのです。

11.

　もうこの世界に来て随分経ったような気がするのです。
　でもあの子はまだ目覚める様子はなく
　僕は少しの間だけお世話になったお爺ちゃんを見送って
　てくてくとついていくのです。

　泣いてなんていないのですよ。

　相変わらずなのはめーちゃんもおんなじで
　このまま結局何が目的なのかわからないままお別れになりそうな気がします。

　……あ
　僕が呼んだんだから最初から目的はないのですね∇･ｗ･∇？
　でも願い事を叶える悪魔なのだとしたら
　僕が特に用もなく呼んでしまったとしても
　何かしら願い事をぶんどるっていう目的を持っている可能性はあるのです。
　今は何言ってるかわからないけど……

　もし聞かれたらどうするか？

　生憎僕には悪魔に頼らないと実現出来ないようなお願い事なんてないのです。
　或いは叶える事が不可能なお願い事しか持ってないのです。

　Humpty Dumpty sat on a wall.
　Humpty Dumpty had a great fall.
　All the king's horses and all the king's men
　Couldn't put Humpty together again.

10.

今日の日記は砂蛸を調理するレシピで埋め尽くされている。

砂蛸の心臓の香草焼き
砂蛸の目玉揚げ
砂蛸の墨スパゲティ
砂蛸の足のマリネ

etc.etc.

9.

　夢の中でもやっぱり眠い時は眠いみたいなのですね……
　おなかはすかないけどうとうとしてしまうのです。
　寝る子だから「ねこ」って名前だって説もあるくらいだし不可抗力なのですよね？
　眠たくなったらめーちゃんの上で寝ておけば運んでくれるかなー

　（うつらうつら）

　……こら！ 何置いて行こうとしてるのですか！
　召喚主は大切にしないと大変な事にするのですよー！

　全く手が掛かる悪魔なのですね。

　（うつらうつら）

　（うつらうつら）

　（うつらうつら）

　うにゃあ。本格的に頭が働かないのです。
　流石にこれは拙い気がしてきました。
　眠たくても銃は撃てるけどー……
　適当に……

『ゃあの……ゃあのおおおぉぉおおおおおおおおおごごごごご！！！！』

　Σ∇･ｗ･∇！？

　あぁなんだー……めーちゃんのいびきかぁ……
　……何寝てるのですか。

　今日はジンのおじーちゃんと会うお約束をしているのです。
　ビッケのふりをしようと思ったけど、僕ウシは似合わないみたい。

8.

　最近ネット上でまことしやかに流れている噂があるそうなのです。
　願いを叶えてくれる悪魔を呼び出すとかいうやつなのですね。
　悪魔召喚？ 女神転生？ とか色々思ったのですが
　どうやら本当の事らしいのです。
　人間風情が良くそんな真似を思いつくのですよ、というか
　悪魔なんかに叶えて貰ったら後々面倒な事になりそう、くらい予測して欲しいものです。
　御し方さえ知っていれば大した事はないのですけどね。
　お師匠様も最近はアバドンをこき使っているというお話だしぃ。
　サンダルフォンやルシファーも言う事きくって言ってたのです。
　流石僕のお師匠様なのです。

　話を戻して。

　その噂話の中で呼び出されてる悪魔ってのがめーちゃんらしいのです。
　……へー。
　そんな貫禄は……うん……

　だって僕は聞いてしまったのです。
　めーちゃんが叫んでるのを。

『押尾、フォー！学、フォー！押尾学、フォー！』

『テキュー！』

　人間と接触するのは構わないけど
　どうでもいい事ばっかり学習するのは如何なものかと思うのです。

　なんかめーちゃんの怖さは悪魔だからとかいうレベルじゃないのですね……。
　頭の中どうなってるんだろう、これは分解しなければならないのです。
　えっと……メスがない。
　メスがないなら鋏を使えば良いじゃない。

　御崎君が最近巨大鋏を作りまくっていた筈なのでした。
　ナイスタイミングです。
　御崎君の座標は確かえーと……

『ジリリリリリリリリリリ！！！１１１』

　何なのですかもう。今度は目覚まし時計の音をラーニングしたのですか？
　五月蝿くて集中出来ないのですよーっ！

7.

　ふと空を見上げると
　めーちゃんが覆い被さるようにして僕の事を観察してました。






＜●＞　　　　＜●＞






　身長差約1.5メートル。おっきい傘みたいなのが上から覗いてるの。
　何がしたいのか良く解らない悪魔なのです。
　取り敢えず今までの傾向として、割と五月蝿いタイプみたいなのですが
　あの子に静かにしてって怒られてからちょっとしょげてるようにも見えるのです。
　といってもめーちゃん、五月蝿いけどあんまり言葉は喋らないから
　これは僕の主観なのですけどねー。

　それにしてもよっぽど僕が可愛いのでしょうか。






＜●＞　　　　＜●＞






　まだ見てるのです。

　怖い怖いなのですね！
　夏ですからねー。オカルト分の補給には最適なのですねー。
　なんだろう……くねくね、じゃなくてえっと
　んー……カオナシ？ カオナシじゃない？

　イングラムの改造は少しお預けにして
　久々にデリンジャーを弄ってみる事にするのです。
　普段はサブマシンガンを使うから、小型拳銃には余り慣れてないのですよね。
　取り敢えずベースはハイスタンダード・デリンジャー。
　か弱い僕の白魚のような指の保護の為に
　トリガープルは1割にまで減らせていただきましたァン♪

　乱射？ 暴走？ 関係ないねっ
　ねっ……？






＜●＞　　　　＜●＞

6.

　やっと銃器取扱免許が取れたと思ったら
　この島には鉄砲屋さんがないのですよ……
　昨日免許が下りた六人のうち僕を含めた五人は自作出来そうだけど
　もう一人のおねーさんはどうするんだろ、って思ってデータバンクをあさってみたら
　PMさんも銃の人なのですね。
　やっぱり銃は浪漫なのですよねー。

　それは兎も角。

　めーちゃんちょっとこっち来いなのですよ。


[1] ENo.743
山田龍太
…………

[2] ENo.743
山田龍太
…………

[3] ENo.743
山田龍太
…………

[4] ENo.743
山田龍太
…………

[5] ENo.743
山田龍太
…………

[6] ENo.743
山田龍太
…………

[7] ENo.743
山田龍太
…………

[8] ENo.743
山田龍太
…………

[9] ENo.743
山田龍太
契…約シ…テミ…タ…カッ…タ…


　一体何なのですかこれはー！
　まるで僕が何か凄く駄目駄目みたいじゃないですか！
　僕は呼び出しただけで契約してないけど。

　ていうかめーちゃんと契約したら死んじゃうって専らの噂なのですよ？
　てことはこれつまり

『コォオロゥシィデェエエヤルゥゥウウウウッ』

　っていう宣戦布告なのですか？
　デュエルはもう間に合ってるのです……。

　この際だからもう一つ、最初から気になっていた事もいっとくのですよ。

> 不完全な形で召喚されてしまったため、
> 元来の姿である人型を取っておらず、
> 人語を話すことが出来ない醜い生き物になっている。

　僕の術が失敗だったみたいに言うななのです。人の所為にしないで欲しいのですよ。
　何で格好良いおにーさんの姿で出てきてくれなかったのですか、もうっ！

　仕方ないから格好良いおにーさんリストでも作ろうかと思ったけど
　時間が余りないかもしれないのですよね。
　うにゃーん。

5.

　めーちゃんめーちゃん、やっと夢主から銃所持の許可下りそうなのですよ。
　全く、普段通りの武器を使えないってのは結構厄介なのですね。

　ていうか何なのですかこれはっ

　　第71位 　607
　　　ENo.66　鳴瀬 玲人

　如何に夢日記つけてる人が少ないかが良くわかるのですよねー。
　まぁ夢日記って本当に毎日つけると頭がおかしくなっちゃうとか
　そんな都市伝説もあるくらいですしね。

　あれ？

　　第77位 　585
　　　ENo.94　メフィストフェレス

　めーちゃんあんなにぶるぶるぶるぁしてたのに意外ー！
　寧ろめーちゃんがあんなにがりがり日記書いてる姿の方が意外だけど
　それは言わない約束なのですよねっ

　それにしても……何かまた強そうなのに囲まれてるのですよー……
　僕たちもまだ巻き返せるのですよ。
　主に前衛ふぁいとなのですよー！
　特にめーちゃん、召喚されたからには僕を守ってくれないとやなのですよー？

『でれでれでれでれでれでれでれでれでーーーで』

　▽おきのどくですが ぼうけんのしょはきえてしまいました
　みたいな返事されても僕が困るのです。
　せめて何時もの強力わかもとでお願いしたいところなのです。

　まぁ、そうだなぁ。僕もそろそろ真面目にやらないと
　下手したらこの世界に呑まれてしまう気がするのですよね。
　僕がじゃなくて、あの子がねー。
　だからどうでも良いといえばどうでも良いけどー。

　え、だってほら、服が遺されたら可哀想じゃないですか？

4.

　紅掛君はねー、「覚えてない」んだそうなのですよ。
　知り合いだったのは確かみたいなんだけど、「前の島のこと」だから解らないって。
　取り敢えず紅掛君の覚書を見せてもらった感じでは年の割に冷静で
　何か儀式短剣みたいなもので戦う切れ者
　……ま、紅掛君はそう思ってたみたいなのですね。
　物理的な道具に魔力を通して武器と成す、僕らの学校でも同じことをしてるのですよね。

『ルァアアララァァァ』

　うん、僕の場合はずっとイングラムサブマシンガンなのです。
　前まではM10使ってたのですけど
　僕みたいに小さくて細身だとやっぱりM11の方が持っててバランスが良いのです。

『ブルァブルァ』

　んーん、重さは大したことないのですよ。
　主にこれは見た目の問題なのです。
　それに一応、反重力装置と衝撃吸収装置はつけてあるのです。
　因みにこの靴の底にも装置だけはあるのだけどやっぱ駄目ですねー。
　多少負荷が掛からないと反動も使い難いのです。
　あ、蹴る時に装置をオンにすると衝撃ドン！だからそういう使い方はするのですよ？
　僕の場合は寧ろその為につけてるっていうかー

『ソワカァァアサヨカァアアアア』

　……。
　たまにめーちゃんが何言ってるかわかんない！

　ついでに登録者情報の検索をかけてきたのですけど
　前に本人から聞き取った情報以上の事は殆ど判らないままなのでした。
　まぁいいのですけどぉ。

　座標は揺らぎがないけど、底がたまに浅くなるのですね。
　そこらをうろついてるも、人の姿をしていても中身がおかしいのが多いし
　何かこういうゲームをやったことがあるような気がするのですよ。
　えーとえーと、何ていうタイトルだったかなぁ。
　寮の地下に置きっ放しに……あ。

　めーちゃん、これBAROQUEに似てる！



　知らない？

　あ、そう。